
ポストコンシューマー再生材
原料からペレットまで管理されたPCRコンパウンド
再生材の環境価値が最も重視される部品向けの、ポストコンシューマー再生材グレードです。部品に合わせて原料を選び、異物と臭気の管理を最優先します。
PCRとは何か、コンパウンダーに何が求められるか
ISO 14021の定義によるポストコンシューマー再生材は、使用済み製品に由来します。本来の役目を終え、使用後に回収された材料です。
PIRより高い環境価値を持ち、EUのクローズドループ目標でも重視される原料です。一方で、当社に届くまでに一度製品として使われているため、より厳しい異物・臭気管理が必要です。
PCRグレードの品質は、その管理次第です。各グレードを目標特性に合わせて設計し、バージン材グレードと同じラボとERP管理のもとで全バッチを試験します。
- 定義:ISO 14021のポストコンシューマー材
- PIRより高い環境価値
- EUのクローズドループ目標で重視される
- 目標特性に合わせて設計し、そのまま販売することはありません
PCRが適する部品
ポストコンシューマー再生プラスチックは、いま対応できる部品から使い始め、データの蓄積に合わせて範囲を広げます。
| 段階 | 代表的な部品 | 重点管理項目 |
|---|---|---|
| 1. 物流資材 | 通い箱、ダンネージ | 剛性、耐衝撃性、ロット間の安定性 |
| 2. 車両の非意匠部品 | ホイールハウスライナー、マッドガード、アンダーカバー向けのタルクまたはガラス強化rPPを、PIRからPCRへ移行 | 特性範囲とVDA 270臭気 |
| 3. 半意匠部品・外装部品 | バンパー基材、外装クラッディング向けのTPOブレンド | 外観、色(delta E)、塗装性 |
| 4. 次の段階 | 重要度の低いリザーバー・トリム部品向けのrHDPE | 原料の安定性と臭気 |
代表的な進め方であり、固定のルールではありません。各PCRグレードはお客様の仕様に合わせて設計・試験します。
異物と臭気の管理
PCRにはPIRより厳しい管理が必要です。すべてのPCRグレードに4つの管理ポイントを適用します。
- 01
ソース別の分別
PCR原料はソースごとに分けて保管し、各ロットの由来を明確にします。
- 02
異物スクリーニングとFT-IR
受入材料の異物をスクリーニングし、投入前にFT-IRでポリマーを同定します。
- 03
脱揮と臭気管理
脱揮を伴う二軸押出コンパウンディング、配合を固定した計量、部品に必要な場合の消臭剤の添加。VDA 270の基準値は部品ごとに取り決めます。
- 04
バッチ品質管理
全バッチでMFI、密度、灰分、引張、曲げ、アイゾット、HDT、色差(delta E)を測定します。灰分からは充填材の量と無機残渣がわかります。
この部品にはPCRかPIRか
当社は両方を供給し、部品と規制要件に合わせて原料を選びます。通常の判断基準は次のとおりです。
PCRが適しているケース
- プログラムがより高い環境価値を求めている
- 目標がポストコンシューマー材やクローズドループ材を指定している
- 通い箱、ダンネージ、非意匠部品など、条件に余裕のある部品である
- すでにPIRで生産しており、データがPCRへの移行を裏付けている
PIRが適しているケース
- プログラムで初めての再生材部品である
- 最もクリーンで安定した原料が必要な部品である
- 臭気の基準が厳しい
- エンジンルームや内装骨格部品に、再生ナイロンや再生ABSがすぐに必要である
再生材含有を裏付ける書類
PCR部品の価値は、その主張が裏付けられてこそです。プログラムに必要な書類作成を支援します。
-
全ロットにCoA
お届けしたロットの試験結果を、合意した特性範囲と照合して記載します。
-
バッチ履歴
全ロットについて、原料から出荷までERPで追跡できます。
-
ISO 14021の用語
ISO 14021の定義に沿って、原料をPIRまたはPCRとして記載します。
-
RoHS・REACH
バージン材グレードと同様に、RoHSとREACHの適合宣言書をご提供します。
-
認証への対応
お客様の再生材含有に関する書類作成を支援し、プログラムが求める認証スキームに合わせて対応できます。
CO2データ
業界の推定値のみです。お客様の部品のCO2e値は、部品データをもとにISO 14067に従って再計算する必要があります。
PCRを後押しする規制
2026年8月13日に施行されたEU使用済み自動車規則は、新たに型式認証を受ける車両に2032年から15%、2036年から25%の再生プラスチックを求め、その5分の1以上を使用済み自動車由来としています。産業由来のスクラップだけでなく、ポストコンシューマー材が求められる流れです。
インドでは、プラスチック廃棄物管理(改正)規則が硬質包装の再生材使用比率を段階的に引き上げ、使用済み自動車規則 2025が2025年4月1日から自動車メーカーに拡大生産者責任を課しています。日本のプラスチック資源循環促進法(2022年施行)は、リサイクルしやすい設計と再生材の利用を促しています。
これらの要約は参考情報であり、法的助言ではありません。お客様のプログラムに適用される規制をお知らせいただければ、それに合わせて原料を選定します。
- EU:使用済み自動車由来のクローズドループ材比率(案)
- インド:2025年4月1日から自動車メーカーに拡大生産者責任
- インド:硬質包装の再生材使用比率を段階的に引き上げ
- 日本:リサイクルしやすい設計と再生材の利用
PCRコンパウンドに関するご質問
PCRはPIRより採用評価が難しいですか?
原料が一度製品として使われているため、より多くの管理が必要です。そのため、PCRは通い箱、ダンネージ、非意匠部品など条件に余裕のある部品から始め、データの蓄積に合わせて範囲を広げます。
異物の混入はどのように防いでいますか?
受入原料のソース別分別、異物スクリーニング、FT-IRによるポリマー同定を行い、さらに全バッチで灰分、密度、機械的特性を試験します。
PCRグレードでVDA 270の臭気基準を満たせますか?
VDA 270の基準値を部品ごとに取り決め、原料の選定、脱揮、必要に応じた消臭剤によって臭気を発生源で管理します。基準が厳しい場合はPIRから始めるほうが適していることもあり、その際は率直にお伝えします。
PCRで色を安定させられますか?
全バッチで色差(delta E)を測定しています。PCRはまず非意匠部品に適しており、半意匠部品については試験前に色の目標値と許容差をお客様と取り決めます。
当社プログラムの再生材含有認証に対応できますか?
お客様の再生材含有に関する書類作成を支援し、プログラムが求める認証スキームに合わせて対応できます。原料と記録をそのスキームに合わせて準備できるよう、RFQの段階でお知らせください。
PCR由来のrHDPEは供給していますか?
重要度の低いリザーバーやトリム部品向けのPCR由来rHDPEは、次の段階として計画しています。対象部品がございましたら、要件をお送りください。